【株式会社ブリエ×野原グループ株式会社】点群データはどう活かされるのか――現場とBIMをつなぐ実践の裏側

野原グループ株式会社BuildApp事業統括本部 BuildAppサービス開発統括部 BAソリューション部
原田様

野原グループ株式会社BuildApp事業統括本部 BuildAppサービス開発統括部 BAソリューション部
中村様
本対談では、野原グループ株式会社BuildApp事業統括本部 BuildAppサービス開発統括部 BAソリューション部様と、BIMモデル作成および図面作成を担う株式会社ブリエとのこれまでの取り組みを背景に、実務に即した知見についてお話を伺いました。
本日はお時間をいただきありがとうございます。これまで我々は、それぞれの専門領域を活かしながら、より実務に即したデータ活用のあり方を模索してきました。
本日は、今までの取り組みを通じて得られた現場での工夫や課題、さらに今後の点群データおよびBIM活用の可能性について掘り下げていきます。
~原田様と中村様の業務について~
まず、お二人のご担当業務について教えてください。
担当は、 Matteportの販売代理店業務とそれに付随する撮影支援やScan to BIMの支援を行っています。
その他にも3DデータプラットフォームのBIMobjectの販売業とチームマネジメントを行っています。

原田と同じくBuildApp事業統括本部 BuildAppサービス開発統括部 BAソリューション部の営業課に所属しています。
Matteportの販売代理店事業の営業を担当していて、案件の創出や問い合わせ対応をメインにカスタマーサポートも行っています。

ありがとうございます。今のお話に関連して、Matterportの販売代理店業務がメインとのことですが、撮影自体も行われているのでしょうか?
基本的にはMatteport製品の3Dスキャンカメラを販売することが主目的で、撮影に関しては、あくまでも補助的な役割となります。
ただ、撮影に関してお困りのお客様や導入前の試験的なサンプル撮影は行っています。
また、Scan to BIMというサービスがあり、数年前からブリエさんと一緒に行っています。空間の3Dスキャン(点群データ取得)から図面化・BIMモデル化までワンストップで依頼したいお客様向けのサービスです。
撮影から図面化・BIMモデル化までを一貫して対応されているサービスですね。そのScan to BIMについて、立ち上げの背景をお伺いしてもよろしいでしょうか?
Scan to BIMという言葉は昔からありましたが、点群データ撮影部分は専門性が高く、撮影後のデータ処理も大変でした。
そのため、作図手前のスタートラインに立つまでも大変でしたが、誰でも簡単に3D撮影ができるMatterportのカメラを活用することで、撮影自体のハードルも下げることができ、より多くの現場で点群データを活用できるのではないかと思ったのがきっかけです。
確かに、点群データ取得のハードルが下がると、その後の活用にもつながりやすくなりますよね。
~点群データ取得の現場での工夫・意識点~
実際の現場で撮影する際に意識されていることや工夫されていることはありますでしょうか?
Matterportのカメラと専用アプリを用いて現場で撮影を行いますが、撮影時にはアプリ上に平面図が表示され、撮影済みの範囲を確認しながら進められる点が大きな特徴だと感じています。
従来のハイエンドスキャナーは、点群取得状況が分かりづらく、経験に依存する部分が大きいため、後からデータがうまく繋がらないといったケースもありました。
一方で、Matterportは視覚的に把握しやすいので、お客様と一緒にアプリ画面を都度確認しながら進めるようにしています。
また、図面化やBIMモデル化まで見据えている案件の場合は特に、複雑な形状の対象物については、複数の角度から撮影することを心掛けています。
ありがとうございます。撮影状況をその場で確認しながら進めつつ、撮り漏れや精度にも気を配られている点がよく分かりました。ちなみに、実際にはどのような物件を撮影されることが多いのでしょうか。

工場や住宅など様々ですが、改修工事の建設現場でご相談いただくケースが多いです。
具体的には、既存図面がない、図面はあるけど現況と違うといった時に図面化依頼があります。
なるほど、改修工事の現場が多いとのことですが、現地に行ってみないと分からないことやデータ取得時に起こりやすいトラブルなどはありますか?
図面やBIMモデルで表現したい部分について、足場がなく撮影が難しいケースもあります。そのような場合には、足場を設置して撮影可能な環境を整えたり、図面での表現方法を見直すなど、軌道修正を行いながらお客様と相談して進めています。
現場条件によってはその場で対応を変えながら進めていく必要があるということですね。ちなみに、建物以外にも土地を表現してほしいという依頼などはありますか?
はい。そのような依頼もあります。土地を撮影する場合は、予め土地の形状が分かるように草刈りをお願いするなど、地面を撮影できる状態を作ってもらうようにしています。
なるほど、撮影そのものだけでなく、事前の環境整備も重要になってくるということですね。
~これまでの課題と解決方法~
これまでご一緒したプロジェクトの中で、印象に残っている案件についてもお伺いできればと思います。
例えば、原田様の案件で、とあるホールの点群データ撮影から図面とBIMモデル作成を行った際には、キャットウォークから見える配管や梁を表現しなければならなかったと思いますが、歩けない場所もあるので、かなり撮影の難易度が高かった印象があります。そのあたりはいかがでしたか?

そうですね。狭い中で撮影も苦労しましたね。多くの配管が壁に刺さっていて、先の経路が分からないこともあったので、なるべくルートが分かるように撮影を行いました。
BIMモデルも見える範囲での表現でしたが、そのあたりはどのようにお客様と整理されていったのでしょうか?
お客様にも、「しっかりと見えている範囲しか作図表現ができない」ということは事前に伝えていました。
一部透過して撮影するなど魔法のようなこともできないので、現実を見てもらい、できる範囲をしっかりと伝え、ご納得いただくことを意識していました。

確かに、事前に前提条件を共有しておかないと、後工程での認識のズレにもつながりそうですね。
次に中村様の案件では、工場全体の点群データから一部のみをBIMモデル化するというプロジェクトもありましたが、範囲の切り分けに難しさはありましたか?
撮影計画の段階で、弊社からお客様へ撮影ポイントをご案内していたため、撮影自体はスムーズに進みました。
また、お客様は吊り荷重の計算も目的とされていたため、BIMモデルで正確に表現できるよう、対象区画以外の箇所からも撮影いただくよう指示しました。

当時は地上からの撮影が中心だったかと思いますが、天井付近を撮影する必要がある場合は、どのように対応されているのでしょうか?
現在はアプリの機能がアップデートされ、撮影範囲を瞬時に3D表示にするが可能になっています。そのため、天井付近を撮影する際には、アプリ内で3D表示に切り替えながら、適切に撮影できているかを確認しています。

~発注者側のよくある悩み・事前整理事項~
様々な理由から貴社に点群データ撮影からBIMモデル作成のご相談があるかと思いますが、お客様のよくある悩みは何でしょうか?
やはり一番多いのは「図面がない」という点です。仮に図面があったとしても、現状と一致しておらず、正確な図面が存在しないケースも少なくありません。
特に住宅と異なり、規模が大きく複雑な建物になるほど、現場の状況を正確に把握すること自体が大きな課題になります。図面化に入る前段階として、「現場がどうなっているのか」「どのような間取りで、どこに通路があり、どのエリアが使用されているのか」、さらには増改築の有無といった点まで、まず現況を把握する必要があります。
しかし、その把握手段はこれまで現地での確認や関係者からのヒアリングに頼ることが多く、効率的に記録する手段が限られていました。そこで、単なる写真ではなく、360度カメラといった手法が選択肢として挙がってきます。その一つがMatterportのカメラです。
さらに、そこから一歩進んで、取得したデータをもとに図面化までつなげていくことが重要であり、これはまさに建築分野の役割だと考えています。従来は多人数で測量を行い、1〜2か月を要していた作業が、撮影データを活用することで、半月程度で一定レベルの図面作成が可能になるのであれば、お客様にとって大きなメリットになります。
少し話が広がりましたが、やはり根本的な課題としては「正確な図面がない」という点が最も大きいと感じています。
ありがとうございます。やはり「正確な図面がない」という点は、多くの現場で共通する大きな課題ですね。
その上で、今後お客様が撮影を依頼する際に、事前に整理しておくべき情報などがあれば教えてください。
基本的には、撮影対象の範囲が明確になっていれば問題ありません。
一方で、「現況図面がなく、どこから手を付ければよいかわからない」といったご相談も多く、そうした段階からでも対応可能です。加えて、たとえ古い図面であっても参考にできますし、現地の写真がある場合には、より具体的なご提案がしやすくなります。

ありがとうございます。撮影範囲の整理や、図面・写真といった事前情報の有無が、その後の進めやすさに大きく関わる点は、弊社でも同様に感じています。初期段階での情報整理の重要性を改めて実感しました。
~ブリエに対する印象~
これまで様々な案件を共に進めてきましたが、弊社の印象を教えていただけますでしょうか。
これまで価格面で相談させてもらうことも無く、見積対応や納期も常に厳守いただいており、大変助かっています。また、成果物の品質も高く、手戻りが発生することがほとんどない点も安心してお願いできる理由の一つです。
また、できないことは無理に「できる」と言うのではなく、正直にお伝えいただける点にも信頼感があります。そのうえで、単に断るのではなく、代替案の検討やプラスアルファの工夫をしていただけるところが非常にありがたいと感じています。
原田のお話と重複する部分もありますが、レスポンスの速さは非常に助かっています。また、ブリエさん側で説明資料や事前の質問事項をご提示いただけるため、それらを活用しながらお客様へご説明することで、理解や納得を得やすいと感じています。結果として、社内外での調整もスムーズに進めることができており、大変ありがたく思っています。
ありがとうございます。我々も野原グループ様やその先のお客様に喜んでいただけていることがとても嬉しく思います。

~今後の展望~
最後に、今後の展望についてお聞かせください。今回のような取り組みを踏まえ、今後のBIM活用や、弊社との連携を含めた発展の可能性についてどのようにお考えでしょうか?
以前は手作業での計測や足場を組んでの対応が一般的でしたが、レーザースキャナーの進化によって、あらゆる情報の取得自体が格段に効率化されたとお客様からもお声をいただいています。一方で、まだその価値に気づいていないお客様も多いと感じており、より多くの方に知っていただき、「有効な手法だ」と実感していただきたいと考えています。
確かに、点群データの活用ニーズ自体は今後さらに広がっていきそうですね。特に、新築だけでなく既存建物の有効活用、いわゆるリフォームや改修案件が増えていく中で、現況図面が整備されていないケースも多く見受けられます。そのため、点群データを取得し、そこから図面化やBIMモデル化を行うニーズは今後ますます高まっていくと感じています。
はい。そのうえで、今後は対応できる領域も広げていきたいと考えています。例えば、大規模で構造が複雑な工場など、より難易度の高い案件にも取り組みながら、建物の種別や規模の面でもスケールアップしていきたいですね。
対応範囲の拡大とあわせて、取得したデータをいかに活用していくかも重要になってきますね。弊社としても、点群データから短時間で図面化・BIMモデル化を行うことで、設計や施工検討までのリードタイムを大きく短縮できる可能性を感じています。
そうですね。最近では、ハンディタイプのカメラを活用したいというニーズも増えてきています。特に入り組んだ配管などは、据え置き型のレーザースキャナーでは対応が難しいケースもあるためです。業界全体としてもハンディ機器の需要は高まっていると感じており、今後はそうした手法も積極的に取り入れていきたいと考えています。
ありがとうございます。取得手法の幅が広がることで、より複雑な設備や配管にも対応しやすくなってきているのですね。加えて、こうした点群データを活用して、設備や配管の撤去・新設時のシミュレーションなどにも活用できる可能性があると感じています。
今後は「取得して終わり」ではなく、その後の図面化やBIMモデル化、さらには運用までを見据えた一連の流れとして設計していくことが、より重要になっていきそうですね。こうしたプロセスが特定の案件にとどまらず、一般的な業務として広がっていく可能性も感じています。
本日はありがとうございました。今後のさらなる展開を楽しみにしております。
野原グループ株式会社
創業400年以上の歴史を持つ建設関連の総合企業。従来の建築資材の販売や専門工事、交通標識の製造などの事業基盤に加え、現在はデジタル技術を用いて建設業界のプロセスやサプライチェーンを革新する「建設DX推進事業(BuildAppなど)」に注力しています。
また、Matterportの国内正規代理店として、販売・サポートを手掛けております。同製品においては世界トップの販売実績を誇り、豊富な実績とノウハウに基づいた提案力に強みを持っています。
