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点群データを用いた既存建築物のBIMモデル化サービス

本ページでご提案する建設DXサービスは、建設業界や施設管理分野において有用な技術である、点群データ(*1)を用いた既存建物をBIMモデル化(*2)です。
BIMモデル化にはいくつかの方法がありますが、今回は「点群データを活用したBIMモデル化するサービス」のメリットや、業務フロー等について解説します。
BIMモデルは建物新築時に導入されるケースが多いのですが、私たちは、既存建築物のBIMモデル化をご提案しています。サービスの活用事例として、倉庫レイアウト変更やリノベーションプロジェクトが挙げられ、リアルタイムプロジェクト管理や設計最適化など、未来の活用についても提案します。

点群データとは

点群データとは、3D空間上の「座標情報(X,Y,Z)と色情報(R,G,B)を持った点の集合データ」のことを指します。点群データは主に3DスキャナーやLiDAR(光レーダー)などのセンサー技術を用いて取得されます。
建設DXの進行に伴い、点群データの重要性は日々高まっています。正確で効率的なデータ取得を実現することで、建設業界のさらなる進化と品質向上が期待される時代。点群データの活用は、その核心を成す技術の一つと言えるでしょう。

BIMモデル化とは

BIMはBuilding Information Modelの略で、「ビム」と呼ばれます。BIMは、建設プロジェクトのデジタル化と情報共有を支援するアプローチで、BIMモデル化は、BIMアプローチを実現するための具体的な作業プロセスを指します。

今回ご提案するBIMモデル化は、図面や点群データなどを用いて建物を3Dモデル化し、さらに建材などの属性を持たせた3Dデータを指します。BIMモデル化をする際には、「Autodesk Revit(オートデスク レビット)」(*4)などのソフトウェアを用います。

BIM先進国のシンガポールなどではBIM化が必須(*5)となり、プロジェクトによってはBIMモデル化しないと建物が建てられません。日本でも、公共事業や大規模な建築を中心に、緩やかではありますがBIMモデル化が導入され始めています。

「点群データを用いたBIMモデル化」サービス

BIMモデル化にはさまざまな方法がありますが、私たちは「点群データを用いたBIMモデル化」サービスをご提供しています。以下に、点群データからBIMモデル化することで得られるメリットや、新たな活用例等について解説します。

BIMモデル化のメリット

BIMモデル化には主に、以下のようなメリットがあります。

既存建築物のBIMモデル化のすすめ

BIMモデル化は建物の新築時に導入されるケースがほとんどですが、私たちは逆の視点に立ち、既存の建築物をBIMモデル化し、大いに活用することをご提案しています。
既存建築物をBIMモデル化するには、「点群データ」を取得する必要があります。または、図面からBIMモデル化することもできます。私たちはBIMの黎明期から点群データの取得とBIMモデル化に特化したサービスに着目し、独自のノウハウを蓄積してきました。

既存建物を点群データでBIMモデル化

点群データとは、専用のカメラを使って建物などを撮影し、建物をデータ化したものを指します。点群データは建物の3次元座標値と色の情報をもち、誤差1cm未満で正確に取得することができます。
点群データを取得することで、図面が存在しない建築物でもBIMモデル化が可能になります。

既存構造物をLiDAR等(*6)の3D点群データを取得しBIMモデル化を実現します。

非常に近しいところでは、iPhone12 Pro/Pro Max、iPad Pro以降の機種には、カメラとは別にLiDARが搭載されているのは有名です。カメラの写真は、いくら解像度が高くなっても2次元の平面に投影されるものであってリアルに立体感を得られるものではありません。
LiDARは、レーザーで物体を測定しその結果を3D点群データとして出力するものであり、これは3Dであるためリアルな立体のデータとなります。
製造業では、既存の部品等を高性能なLiDAR機能で撮影し、3Dデータを起こして同じものを製造したりする用途に使われています。
建設業では、BIMによる3D化が進められておりますが、既存の建築物については、古いものであれば図面も存在していない場合、BIMモデル化を実現することが難しいですが、このLiDARから撮影した3D点群データを元にBIMモデル化することが可能になりました。

点群データ取得には専用カメラと経験豊富な人材が必要

点群データを取得する際は、3Dレーザーカメラで3Dを計測します。撮影方法はいくつかあり、「地上設置型による撮影」「ハンディ型計測器による撮影」「ドローンなどでの航空レーザー測量」など、撮影対象物によって手段が変わります。
点群データを正確に取得するためには、専用の高性能なカメラが必須です。カメラのレーザーは壁などを透過せず、見えている範囲しかデータを取得できません。撮影時に全ての角度をカバーして撮影する必要があるため、スキルとノウハウを有した人材が必要です。

3D点群データからBIMモデル化

3D点群データは、単純に点の集まりであり、また、データ量もG(ギガ)単位となり、点群だけではどうにもなりません。
Autodesk Revitを利用する場合、3D点群データをAutodesk ReCapと言うツールでRevitに読み込めるデータ形式に変換します。
この後、Revit上で読み込んだ3D点群データを元にBIMモデル化を実施します。ソフトウェアで変換できるサービスも存在しますが、点群・図面(存在すれば)を確認しながら専門のスタッフによりBIMモデル化を実施します。
BIMモデル化を実施するにあたり、事前に図面が存在するのであれば、通り芯情報を入力し壁等の躯体位置を正確にモデル化することが可能になります。

既存建築物のBIMモデル化(BIM化)

国内で建築構造物に対してBIM化がされたものがどのくらいあるのか?恐らく数パーセントの範囲であり、今後、BIM化の件数は増えてくるものと予測します。大半の建築物は、2Dの図面が建築物のデータとなり図面も存在しない建築物も存在します。
もし、この既存の建築物に対してBIMモデルがあれば、様々な活用が考えられます。大規模な建築物では、維持管理に活用することができBIM化の利点を生かして実際の劣化場所、補強場所、取り換え場所を3Dモデルで明示化することも可能となります。
また、リフォーム・リユースに活用する事例としてBIMモデル化から、新しい空間を作成しプレゼンにも利用できるようになります。
既存建築物をBIMモデル化することで、以下のようなメリットや活用例があります。

点群データをBIMモデル化するステップ

点群からBIMモデル化する技術については、ソフトウェア単体では完全なBIMモデルとすることはできず、最終的には“ひと”の手で調整して作成することが必要です。
点群データ取得からBIMモデル化までのフローは以下の通りです。

点群からBIM化のメニュー

3D点群からBIM化へのメニューは、下記の通りとなります。 Autodesk Revitのバージョンは、Revit2021, Revit 2022, Revit 2023から選択が可能です。
レベル内容
簡易Revitの既存テンプレートを利用します。
簡易ファミリはテンプレートにあるものを使用します。
簡易ファミリにないものは、作成しません。
簡易寸法は、点群から読み取ります。(実寸法と異なる可能性あり)
中庸ファミリが無いものは、公開サイトから近しいファミリを取得します。
中庸図面があれば、通り芯(フロア)位置は、正確に設定します。
詳細マテリアルの設定を行います。
詳細近しいファミリが存在しないものは、ファミリの作成もしくは、インプレイスマスで作成します。
詳細什器、照明、設備を確認できる範囲で作成します。
詳細メーカサイトから製品のファミリをダウンロードできるものは、製品が分かればその製品のファミリで作成します。
なお、テンプレートをお持ちの場合は、そのテンプレートを利用することも可能となります。 寸法入りの図面データも必要な場合も対応することが可能になります。

点群データをBIMモデル化する場合の注意点

BIMモデル化で最も重要なことは、位置関係や高さの情報を正確にデータ化することです。壁紙やタイル、床板などの写真データがあれば、より正確に反映することが可能になります。

弊社サービスのご活用例

「点群データを用いたBIMモデル化サービス」の活用例をご紹介します。

その他、未来の活用例など

サービスの未来の活用方法としては、以下のようなものが想定されます。
これらの活用方法を通じて、点群データを用いたBIMモデル化サービスは、建築・建設業界および関連する分野で革新的な進化を遂げることが期待されています。

まとめ

新築に導入されることが多いBIMモデル化ですが、既存建築物の維持・管理やリノベーションのほか、建築業界以外でも、より便利な使い方が紹介されていくことでしょう。

建設DX BIMセンター

私たちは、BIMのノウハウ蓄積と建設業界DXへ貢献するための拠点として、「建設DX BIMセンター」を立ち上げました。
BIMモデル化をご検討中のご担当者様。点群データを活用した建設DXに興味をお持ちのご担当者様。御社のご要望に合わせ、最適なプランをご提案させていただきます。以下お問い合わせボタンよりお気軽にお問い合わせください。

協業パートナー企業ご紹介

野原グループ株式会社と弊社(株式会社エヌ・アンド・アイ・システムズ)は、「点群からBIMモデル化」の分野において協業し、ノウハウ蓄積とBIMの作業効率化を共に目指しています。

【関連リンク】

※注釈と出典

(*2)BIMモデル化 BIMモデル化は、BIMのアプローチを実現するための具体的な作業プロセスです。
(*3)BIM
BIMは、建設プロジェクトのデジタル化と情報共有を支援するアプローチです。
(*6)LiDAR(ライダー)とは?
LiDAR(ライダー)とは、「Light Detection and Ranging」の略称で、レーザーを用いて距離を測定する技術のことを指します。
LiDARは、レーザー光を送信し、その反射光を受信することで、対象物までの距離を計測することができます。このようにして得られた距離情報を基に、3次元空間の地形や建物などの構造を高精度で把握することができます。
LiDARは、地球観測や自動運転車、建設現場などの分野で利用されています。特に、自動運転車では、周囲の環境を正確に把握することが必要不可欠であり、高精度な距離情報を提供するLiDARは欠かせない技術となっています。

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