BIM Viewerの活用と自社開発による業務効率化の可能性
こんにちは。
第23回は、「BIM Viewerの活用と自社開発による業務効率化の可能性」です。
BIMモデルを共有・確認する場面でよく登場する「Viewer(ビューア)」ですが、無料で使えるAutodesk Viewerなどを使っている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、BIM Viewerの基本から無料Viewerの活用範囲、そして自社でViewerを開発・活用するメリットまでをわかりやすく解説します。
是非最後までご覧ください。
| Agenda 1. BIM Viewerとは何か? 2. 無料Viewerの活用方法 3. 無料Viewerでできないこと 4. 自社開発によるViewer活用のメリット 5. Viewer開発の仕組み 6. まとめ |

1.BIM Viewerとは何か?
BIM Viewer(ビムビューア)とは、RevitやArchiCADなどで作成されたBIMモデルをブラウザ(chrom、edge等)で「閲覧・確認するためのツール」です。
BIMモデルは、建物の3D形状だけでなく、部材の属性(材料・寸法・メーカーなど)を含んでおり、Viewerを使うことで、専門ソフトを持っていない人でも簡単に3Dモデルを確認できます。
主な用途としては以下のようなものがあります。
・モデルの回転・拡大縮小・断面表示
・部材情報の確認(材質・サイズ・仕様など)
・干渉チェックや寸法確認
・会議・打合せ・発注者への説明資料としての共有
つまり、Viewerは「BIMを全員で共有するための窓口」といえる存在となります。

2.無料Viewerの活用方法
代表的なAutodeskが提供している無料のBIM Viewerについて、説明いたします。
Autodeskが提供しているViewerは、ソフトをインストールしなくてもWebブラウザ上で3Dモデルや2D図面を表示できる便利なツールです。
代表的なものに「Autodesk Viewer」や「Autodesk Docs(旧BIM 360 Docs)」のプレビュー機能があります。
このViewerを利用することで、RevitやAutoCAD、Navisworksなどで作成されたデータ(.rvt、.dwg、.nwdなど)を、ソフトを持っていない関係者でも閲覧・確認できるようになります。
たとえば、営業担当者が顧客に3Dモデルを見せたり、施工現場でタブレットを使って図面を確認したりといった場面で活用されています。
また、Autodesk Viewerではモデルの回転・ズーム・断面表示・測定・コメント入力などの基本操作が可能です。
これにより、関係者間でのコミュニケーションが円滑になり、「見るだけ」ではなく「共有・確認の場」としての活用が広がっています。
IFC形式のモデルであれば、Autodesk製品以外のユーザーでも閲覧可能です。
たとえば、ArchiCADで作成したBIMモデルをIFC形式で書き出し、「Solibri Anywhere」などの無償Viewerで閲覧することもできます。
Solibri Anywhereは、IFCデータの構造や属性情報の確認に優れており、Autodesk Viewerとは異なる視点でBIMモデルを検証できます。
このように、Autodesk ViewerやSolibri Anywhereといった無料Viewerをうまく使い分けることで、BIMデータを社内外の関係者が共通の情報基盤として活用できる環境を構築することが可能です。
ただし、無料Viewerはあくまで「閲覧・簡易確認」を目的としており、社内でのデータ管理や独自の情報連携、業務プロセスへの統合といった機能までは備えていません。
そのため、より深い業務活用を行うには、Viewer機能を組み込んだ自社システムの開発が有効となります。
3.無料Viewerでできないこと
Autodeskの無料Viewerは非常に便利なツールですが、あくまで「モデルを閲覧・確認する」ための機能に限定されています。
そのため、業務プロセスや社内システムと連携してBIMデータを活用したい場合には、いくつかの制約が生じます。
まず、無料Viewerではモデルデータを直接編集したり、属性情報を追加・更新したりすることはできません。
たとえば、建物の部材にコスト情報や進捗状況を紐づけて管理したい場合、Viewer単体では対応できません。
これらの情報を動的に扱うには、BIMデータを扱うAPIやデータベースとの連携が必要になります。
また、独自の業務フローや社内データベースとの統合も難しい点が挙げられます。
無料ViewerはAutodeskのクラウド上で動作するため、企業独自のログイン管理、案件情報、見積管理などと直接つなぐことは想定されていません。
結果として、BIMモデルと他の業務情報が分断され、データを一元的に活用することが難しくなります。
さらに、カスタマイズ性や自動化の面でも制限があります。
たとえば、モデルの一部を自動で抽出して表示したり、社内用のレポートを自動生成したりといった機能は、無料Viewerでは実装できません。
これらを実現するためには、Autodeskの「Autodesk Platform Services(旧:Forge)」などを利用して、Viewerを拡張・組み込む仕組みを自社で開発する必要があります。
このように、無料Viewerは「閲覧・確認」には十分ですが、業務効率化や情報活用を目的としたBIMの本格運用には不十分です。
そこで、次に自社でViewerシステムを開発し、業務フローに統合することのメリットについて解説します。

4.自社開発によるViewer活用のメリット
自社の業務に合わせてBIM Viewerを開発することで、次のような大きなメリットが得られます。
①業務プロセスに最適化
・自社の管理項目(進捗・発注・コストなど)をモデルと連携
・部署ごとに異なる表示項目や操作UIを設定可能
②データ連携・自動化
・社内システム(ERP・見積・工程管理)とAPI連携
・BIMモデルから数量・部材情報を自動抽出
③リアルタイム共有・意思決定の迅速化
・最新モデルをブラウザ上で全員が閲覧可能
・コメントや承認フローをViewer上で完結
④情報セキュリティと管理性
・自社サーバーやクラウド環境でデータを安全に管理
・アクセス権限の設定やログ管理が容易
このように、自社専用Viewerを導入することで、BIMモデルが「情報共有ツール」から「業務基盤」へ進化します。
5. Viewer開発の仕組み
Autodeskは、BIMデータをWeb上で表示・操作するための開発基盤「Autodesk Platform Services(APS)」を提供しています。
これを活用すれば、RevitやIFCモデルをブラウザ上で自在に表示・制御するViewerを開発できます。
ただし、APSを用いたViewer開発には、Webプログラミング・API連携・Autodeskのデータ構造への理解など、一定の技術的知識が求められます。
目的に応じてUIを設計し、モデル表示やデータ管理を行う仕組みを構築するには、開発経験を持つ技術者や専門会社のサポートが不可欠です。
そのため、Viewerの開発やカスタマイズを検討する際は、APSの仕組みを理解し、実際に開発経験を持つ会社へ相談するのが最も効率的です。
目的や運用環境を共有することで、必要な機能・構成・コスト感などを明確にし、自社に最適なViewerシステムを構築できます。

6.まとめ
BIMデータは、設計・施工・運用の各フェーズで膨大な情報を含む重要な資産です。
その情報を最大限に活かすためには、関係者全員がモデルを「見て」「理解し」「活用できる」環境を整えることが欠かせません。
Autodeskの無料Viewerは、BIMデータを手軽に共有・確認する上で非常に有用なツールです。
しかし、社内の業務フローやデータベースと連携させたり、特定の業務に合わせた操作機能を追加したりといった“自社業務に最適化された活用”を実現するには、やはりカスタマイズされたViewerの構築が必要になります。
弊社でも、APSを活用したViewer開発・カスタマイズの実績があり、
「無料Viewerでは物足りない」「自社の業務に合わせたモデル閲覧環境を整えたい」
といった課題に合わせて、最適な開発提案を行っています。
Viewerの開発・導入をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。
また、弊社ではブラウザで非常に簡単な操作でBIMモデルを確認できるサービスを展開しております。
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用途や現状の運用環境をお伺いしたうえで、最適なアプローチをご案内いたします。
それでは次回のブログでお会いしましょう。

株式会社ブリエの営業女子。前職は金融機関に勤めており、IT業界へ転職。建設業界や製造業界を中心にDXを浸透させるため毎日奮闘中。

