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CDE(Common Data Environment)とは何か?BIMとの関係と重要性をわかりやすく解説

こんにちは。

第19回は、「 CDE(Common Data Environment)とは何か?BIMとの関係と重要性をわかりやすく解説 」です。

「BIMを導入しよう」と思って調べ始めた方なら、必ずといっていいほど目にするのが「CDE(Common Data Environment)」という言葉。
聞き慣れない横文字ですが、最近では国土交通省の資料にも登場し、建設業界における“常識”になりつつあります。

しかし、実際のところ「CDEって何?」「BIMとはどう違うの?」「なぜ重要なのか?」と、いまいちピンと来ていない方も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、CDEは単なるツールではなく、情報の共有方法そのものを根本から変える考え方だからです。

今回のブログでは、そんな「CDE」について基礎からやさしく解説します。
BIMとの関係性や、国土交通省の方針も踏まえながら、実務にどう役立つのかを具体的に紹介しますので、是非最後までご覧ください。

Agenda

1. CDE(Common Data Environment)とは
2. なぜCDEが重要なのか
3. BIMとCDEの関係とは
4. まとめ

1. CDE(Common Data Environment)とは

CDE(Common Data Environment)とは、日本語で「共通データ環境」と訳される、建設プロジェクトにおけるすべての情報を一元的に管理・共有するためのプラットフォームのことです。

従来の建設プロジェクトでは、設計・施工・発注者・サブコンなど、関係者ごとに情報管理の仕組みが異なり、図面やデータのバージョン管理や共有に多くの手間とリスクが伴っていました。CDEはこれらの課題を解決するために導入され、関係者が最新かつ正確な情報にアクセスできる環境を実現します。

国土交通省の建築BIM推進会議WG資料では、CDEとは共通データ環境であることと、確認申請用CDEの具体的用途が記載されています。CDEは単なる共有場所ではなく、実際の審査プロセスに組み込まれた運用環境であることが読み取れます。


出典:第11回 BIM/CIM推進委員会令和6年2月22日 資料2 建築分野における検討WG(建築BIM推進会議)の活動状況について p.2

2.なぜCDEが重要なのか

建設プロジェクトは、多数の関係者が関わり、情報量も非常に多く、かつ流動的です。
特に近年、BIMモデル、写真、検査記録、進捗報告など、非構造化データが急増しています。

こうした状況でCDEを導入することにより、以下のような実務的効果が得られます。

■トレーサビリティの確保
CDEを導入することで、設計変更や施工指示の履歴を追跡可能になり、「誰が・いつ・どのような変更を行ったのか」が明確になります。これにより情報の信頼性と透明性が飛躍的に向上します。

■情報の重複・矛盾の回避
複数拠点・多職種間での情報の一貫性が保たれます。

■チーム間のコミュニケーションの円滑化
設計者、施工者、発注者など関係者全員が同じ情報をリアルタイムで確認できるため、認識のズレや手戻りを防止できます。

補足情報:国土交通省の取り組み
国土交通省は2023年度から直轄公共事業に対してBIM/CIMの原則適用を開始しており、その中でCDEの構築もISO19650に準拠した枠組みで推進しています(例:作業中・承認済・アーカイブ等のデータステータスを明確化)

3.BIMとCDEの関係とは

混同されがちですが、BIMとCDEは次のような関係です。

概念役割実例
BIM建物・インフラの3Dモデル及び属性情報モデルデータ(RVT,IFCなど)
CDEBIMデータや関連文書を共有・管理するプラットフォームAutodesk Construction Cloud, BIM 360, Trimble Connect など

CDEはBIMを運用するための「基盤」であり、BIMがあってもCDEがなければ、その効果を最大限に発揮できません。

例)BIMモデルを更新したが、設計部と施工部で異なるバージョンを使っていた
→ CDE未整備の典型的な問題であるが、CDEを導入していれば、常に「最新版」にアクセス可能となります。

■BIM×CDEで可能になること
・設計変更のリアルタイム共有
・施工中の進捗確認と比較
・維持管理フェーズへのデータ連携

これらは、従来の紙図面やローカルファイルでは実現が困難だった業務効率化と品質向上を意味します。

4.まとめ

CDE(Common Data Environment)は、BIMを支える基盤技術であり、建設業界のDX・生産性向上に欠かせない存在です。国土交通省は公共工事でのCDE活用を本格推進中していて、大手企業でも、Autodesk Construction CloudなどのCDEの活用が増えてきています。
今後はCDEの活用が、単なる先進的な取り組みではなく、業界標準として求められる時代が到来すると考えられます。早い段階でCDEの理解と運用体制を整えることが、持続的な競争力の確保につながるでしょう。

それでは次回のブログでお会いしましょう。