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Autodesk Formaとは?ACC統合で変わる設計初期フェーズの新しい形

こんにちは。

第29回は、「Autodesk Formaとは?ACC統合で変わる設計初期フェーズの新しい形」です。

2026年3月、Autodeskは設計・施工のクラウド基盤であるAutodesk Construction Cloud(ACC)をAutodesk Formaへ統合することを発表しました。
これは単なる製品統合ではなく、「設計初期段階から施工・運用までを一気通貫でつなぐ」という大きな方向転換を意味しています。

本記事では、Autodesk Formaの概要と特徴を整理しながら、ACC統合によって何が変わるのか、そして実務でどのように活用できるのかを解説していきます。

是非最後までご覧ください。

Agenda

1. Autodesk Formaとは何か
2. ACC統合で何が変わるのか
3. なぜ今、Formaが重要なのか
4. 具体的な活用シーン
5. まとめ

1.Autodesk Formaとは何か

Autodesk Formaは、建築・都市計画における「設計初期フェーズ」に特化したクラウドプラットフォームです。

従来、ボリュームチェックや日照・風環境の解析は、
・複数ツールの併用
・専門ソフトの操作スキル
・試行錯誤に時間がかかる
といった課題がありました。

Autodesk Formaではこれらをクラウド上で一体化し、「検討→解析→比較」のサイクルを高速で回せる点が最大の特徴です。
具体的には、敷地情報をもとにしたボリュームスタディの即時作成や、日照、風、騒音、エネルギーなどの環境解析の自動実行、複数案の比較・評価の可視化が可能となります。

金額は下記となります。(2026年4月現在)

Forma Site Design:AEC Collectionに含まれるForma Site Design:スタンドアロン、Docsを含む
年間サブスクリプション:¥613,800年間サブスクリプション:¥116,600
月間サブスクリプション:¥77,000月間サブスクリプション:¥14,300

参考:https://www.autodesk.com/jp/products/forma/overview

2.ACC統合で何が変わるのか

今回のブログでお伝えしたい大きなポイントは、Autodesk Construction Cloud(ACC)との連携強化です。
Autodesk Construction Cloud(ACC)については、こちらのブログをご覧ください。

従来は、設計初期(コンセプト)と設計詳細~施工(実施設計・現場管理)がツールとして分断されているケースが一般的でした。 
しかしAutodesk FormaとAutodesk Construction Cloud(ACC)の統合により、
・設計初期の検討データがそのまま下流工程に連携
・クラウド上でのデータ一元管理(CDE化)
・関係者間のリアルタイム共有
が実現されます。

統合により、これまで発生していた、設計初期の検討内容が後工程に引き継がれないことや、再入力・再検討が発生するといった無駄を削減できる可能性があります。

また、Autodeskは、Autodesk Formaに統合することで、クラウドプラットフォームおよびAI開発の規模と標準化が進み、改善提供が加速すると発表しています。
出典:Autodesk Forma:建設業のデジタル基盤を再定義するIndustry Cloudプロジェクトデータを横断的につなぎ価値創出を加速

※製品統合に伴い、名称が以下の通り変更されます。

・Autodesk Docs → Forma Data Management
・Autodesk BIM Collaborate Pro → Forma Design Collaboration
・Autodesk Build → Forma Build
・Autodesk Takeoff → Forma Takeoff

3.なぜ今、Formaが重要なのか

これまでの建設DXやBIMの活用は、施工管理や維持管理といった後工程の効率化に重点が置かれてきました。
実際にBIMの活用も工程管理や品質管理など施工フェーズ中心に発展してきた経緯があります。

一方で、近年は初期段階での意思決定がプロジェクト全体に与える影響の大きさが見直され、「フロントローディング」の重要性が高まっています。
この段階での意思決定の質が、コスト、工期、環境性能に大きく影響します。

Autodesk Formaは、この「最も影響力が大きいが、最も曖昧だった領域」をデジタル化するツールと言えます。
従来、この設計初期フェーズでは、経験や過去事例に基づいた判断に依存する場面が多く、検討の根拠が十分に可視化されていないケースも少なくありませんでした。
そのため、関係者間で認識のズレが生じたり、後工程での設計変更につながることもありました。

Autodesk Formaを活用することで、ボリュームチェックや環境解析といった初期段階の意思決定に対して、定量的な裏付けを持たせることが可能になります。
これにより、「なぜこの案を採用したのか」という判断根拠を共有しやすくなり、プロジェクト全体の合意形成の質も向上します。

さらに、こうした初期検討のプロセス自体がデータとして蓄積されることで、将来的にはナレッジとして再利用することも可能になり、属人化しがちな設計判断を組織的な資産へと転換していくことが期待されます。

4.具体的な活用シーン

・Forma×Rhino連携による設計初期からの環境分析活用(日本の日建設計社)
日建設計は、自社設計が日本の商業・住宅分野の温室効果ガス排出量の約4%に相当すると認識し、脱炭素化に向けた取り組みを強化しています。従来は専門チームに依存していた環境分析のプロセスに対し、FormaとRhinoの連携により、設計初期段階から建築家自身が分析を実行できる環境を構築しています。

Rhinoで作成した複雑な形状をFormaに連携することで、日照・風・エネルギーなどの環境分析を容易に実施でき、リアルタイムに設計へ反映することが可能となります。これにより、設計初期に重要な建物形状や容積といった意思決定の質を高め、後工程での修正リスクを低減します。

また、専門家への依存によるボトルネックを解消し、あらゆるスキルレベルの建築家が分析に参加できることで、設計プロセス全体の効率とアウトプット品質が向上します。

日建設計は、2050年のネットゼロ達成に向け、こうしたデータ駆動型の設計手法を全社的に展開し、より多くのプロジェクトで環境負荷低減を実現していく方針です。

出典:https://blogs.autodesk.com/forma/2023/11/13/nikken-sekkei-the-idea-is-to-find-more-ways-to-help-us-achieve-our-sustainability-goals/

・Formaによるエンボディドカーボン分析の活用(カナダのStantec社)
従来のライフサイクルアセスメントは、外部ソフトを用いた分析に数日〜数週間を要し、設計への即時反映が難しい課題がありました。
クラウドベースの設計プラットフォームであるFormaでは、設計と同時にエンボディドカーボンをリアルタイムで分析でき、チーム間で即座に結果を共有・比較しながら意思決定が可能となります。

バンクーバーの大規模開発プロジェクトでは、初期設計で約723,000トンのCO₂排出と試算されましたが、一部建物の構造をハイブリッドコンクリートからマス・ティンバーへ変更することで、約681,000トンまで削減(約42,000トン削減)を実現しました。

このように、設計初期段階からデータに基づいた検討を行うことで、効率的かつ大幅な脱炭素化が可能であることが示されています。

出典:https://blogs.autodesk.com/forma/2025/08/22/stantec-forma-case-study-how-to-reduce-embodied-carbon/

5. まとめ

Autodesk Formaは、これまで曖昧になりがちだった設計初期フェーズをデジタル化し、意思決定の質とスピードを高める新しいプラットフォームです。

特に今回のACCとの統合により、設計初期の検討から施工・運用に至るまでのデータ連携が現実的なものとなり、これまで分断されがちだった業務プロセスを一つの流れとして捉えることができるようになってきました。

一方で、その効果を最大限に引き出すためには、単にツールを導入するだけでは不十分です。
業務フローの整理や役割分担の明確化、運用ルールの設計といった、組織としての取り組みが不可欠となります。

こうした前提を踏まえた上で活用することで、Formaは単なる新しいツールではなく、プロジェクト全体の生産性や意思決定のあり方を変える基盤として機能していくはずです。

それでは、次回のブログでお会いしましょう。