建設DXが進まない本当の理由~人材育成とDX推進組織の設計方法~
こんにちは。
第26回は、「建設DXが進まない本当の理由~人材育成とDX推進組織の設計方法~」です。
近年、建設業界ではBIMやクラウドサービス、各種業務システムの導入が急速に進んでいます。
一方で、
「導入したものの、思ったほど使われていない」
「一部の担当者しか理解していない」
「担当者が変わると運用が止まってしまう」
といった声も多く聞かれるようになりました。
DXに取り組む企業が増える中で、期待されたほどの効果が得られず、結果として取り組みが停滞してしまうケースも少なくありません。
その背景には、ツールや技術の問題だけではなく、人材育成や組織体制の在り方が大きく関係しています。
本記事では、なぜ建設DXが特定の担当者に依存する「属人化」に陥りやすいのか、その構造的な原因を整理しながら、DXを継続的に推進するための人材育成と組織設計の考え方について解説していきます。
是非最後までご覧ください。
| Agenda 1. なぜ建設DXは属人化してしまうのか 2. DXが進まない企業に共通する組織的課題 3. 人材育成とDX推進組織の考え方 4. 具体的な活用シーン:業務設計・標準化への応用 5. 注意点と限界 6. まとめ |

1.なぜ建設DXは属人化してしまうのか
近年、国土交通省のBIM/CIM原則適用をはじめ、DX推進は業界全体の重要なテーマとなりました。
しかし実際の現場では、
・BIMを使いこなしているのは一部の担当者のみ
・DX関連業務が特定の人に集中している
・担当者の異動や退職とともに運用が止まってしまう
といった「属人化」の問題が多く見られます。
この背景には、DXを“ツール導入”として捉え、業務や組織の構造まで踏み込めていない現状があります。
DXは本来、業務プロセス全体を見直す取り組みであるにもかかわらず、現場では「ITに詳しい人が対応する仕事」として扱われがちです。
その結果、業務ノウハウや判断基準が個人の中に蓄積され、会社として知識が共有されない状態が生まれてしまいます。
さらに、従来の建設業務は長年の経験や暗黙知に支えられてきた側面が強く、業務手順や判断基準が明文化されていないケースも少なくありません。
この状況でDXを進めると、デジタル化された業務だけが浮き上がり、結果として属人化がより強まるという矛盾が生じてしまいます。
2.DXが進まない企業に共通する組織的課題
建設DXが停滞している企業には、いくつか共通した課題が見られます。
まず一つ目は、DXの目的が曖昧なまま導入が進んでいることです。
「BIMを使うこと」「クラウドを導入すること」が目的化してしまい、どの業務をどう改善したいのかが整理されていないケースが多くあります。
二つ目は、現場業務とDX推進が分断されていることです。
システム担当と現場担当の間に十分な連携がなく、実際の業務フローに合わない運用ルールが作られてしまいます。その結果、現場では「使いづらい」「結局手作業の方が早い」と判断され、DXが形骸化してしまいます。
三つ目は、人材育成が教育単体で終わっていることです。
研修や講習は実施しているものの、実務で活用する仕組みがなく、スキルが定着しないまま時間が経過してしまいます。
これらの課題はすべて、個人の能力ではなく、組織設計の問題に起因しています。
3.人材育成とDX推進組織の考え方
DXを属人化させないためには、「DX人材を増やす」ことよりも、役割を明確にした組織設計が重要です。
一般的に、DX推進には以下のような役割が必要になります。
・DXの方向性や投資判断を行うマネジメント層
・現場業務とデジタル施策をつなぐ業務設計担当
・BIMやシステムを実務として扱う運用担当
・技術や仕組みづくりを支援する外部パートナー
これらを一人の担当者に集約してしまうと、業務量が増大し、継続的な運用が困難になります。
重要なのは、「誰が何を決め、誰が何を運用するのか」を明確にし、DXを個人ではなく組織で支える体制を構築することです。

4.具体的な活用シーン:業務設計・標準化への応用
DX推進を組織に定着させるためには、日々の業務の中で「誰が担当しても同じやり方で再現できる状態」をつくることが欠かせません。
ツールを導入するだけではなく、業務そのものをどのようなルールで運用するかを明確にする必要があります。
例えばBIM運用では、テンプレートの統一やモデリングルールの明文化、ファイル構成や命名規則の整理など、基本となるルール設計が重要になります。
これらが定まっていない場合、担当者ごとに判断や作業方法が異なり、モデル品質や作業効率にばらつきが生じてしまいます。
さらに、承認フローや修正履歴の管理方法まで含めて整理することで、「誰が・いつ・何を変更したのか」が可視化され、プロジェクト全体の管理性も向上します。
加えて、クラウドサービスやCDE(共通データ環境)を活用すれば、データの保管場所や最新版の所在が明確になり、担当者が異動・交代した場合でも業務をスムーズに引き継ぐことが可能になります。
このように業務設計と標準化を進めることで、DXは特定の担当者の努力に依存するものではなく、組織全体で安定して運用できる業務プロセスへと変化していきます。

5. 注意点と限界
ただし、DX推進組織を構築すればすべてが解決するわけではありません。
まず前提として、現行業務の整理が不可欠です。
業務フローが曖昧なままシステム化を進めても、混乱を招くだけになってしまいます。
また、データ整備やルール策定には一定の工数が必要となり、通常業務と並行して進めることが難しいケースも少なくありません。
人材不足が深刻な企業ほど、DX推進担当者の負担が大きくなりがちです。
さらに、BIMやシステム運用には専門的な知識も求められるため、社内だけですべてを完結させようとすると限界が生じます。
DXを継続させるためには、内製と外部支援を適切に組み合わせ、無理のない体制を構築することが重要です。
6.まとめ
建設DXが属人化してしまう最大の原因は、技術不足ではなく組織設計の不在にあります。
・ツール導入が目的化している
・役割分担が曖昧なまま進んでいる
・教育と業務が結びついていない
これらの課題を解消することで、DXは一過性の取り組みではなく、会社の仕組みとして定着していきます。
弊社では、BIMやCADの業務効率化を行うためのシステム開発やBIM導入支援(テンプレート、モデル作成等)などを通じて、継続可能な建設DXの実現を支援しています。
DX関連でお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
それでは、次回のブログでお会いしましょう。

株式会社ブリエの営業女子。前職は金融機関に勤めており、IT業界へ転職。建設業界や製造業界を中心にDXを浸透させるため毎日奮闘中。

